景気が良くないので、「広告、マーケティングバジェットを凍結」という話をちらほら聞きますが、本当はこのような景気低迷の時こそ、マーケティングがより大切になると思います。
よく言われる例ですが、アフリカで靴を履いていない部族がいたら、チャンスと捉え、その人たちに靴を大々的にマーケティングしようとするか? それとも、今まで何百年も間靴なしで生活していたということは、ニーズがないからマーケティングをしてもしょうがないとあきらめるか?
どちらにもオンリーワンの答えはありません。 そして、これはマーケティング次第で、成功にも失敗にも結び付くと思います。
Bank of America は米系銀行ながら、中国系での知名度は抜群です。 Bank of America のアジア系市場戦略は、私が以前勤めていた広告代理店が初めて手がけました。 その時の決断として、中国、韓国、ベトナム系に向けてマーケティングすることにし、日系にはしないことになりました。
なぜだと思いますか? この決断がなされた1994年当時、多くの日本の銀行がアメリカに進出していました。「日本人は日本の銀行を使うので、Bank of America が広告しても広告代がもったいない」という理由でした。
10年後、韓国の大手新聞『コリアン・デイリー』の2006年の調査では、驚くことに韓国系のHanmi BankよりもBank of Americaの方が、在米韓国人のマーケットシェアが大きいのです。
もし、あの時 Bank of America が中国、韓国系と同様に日系にもマーケティングしていたら、今頃 Bank of America のマーケットシェアは日系の中で1番だったかもしれません。
ブランド・ロイヤルカスタマーへの近道!?
日本からアメリカに進出している多くの企業は、毎日、「誰をターゲットにするか」というジレンマと戦っています。
例えば、お米。 食べ慣れているのは、もちろんアジア系の人ですよね。 それでは、アジア人を主なターゲットとして売っていくのか。 または、食生活のまったく違う、非アジア系に売っていくのか。 アジア系に売っていくほうが、「もちろん簡単」と思うかもしれません。 でも、中国の方は、小さい頃から慣れ親しんだ中国の米があります。 それに慣れ親しんでいる中国の人にとっては、日本の米は粘り気が強過ぎるとう印象があります。
米を食べたことのない非アジア系の人に、初めて米を試してもらうのは至難の業です。 でも、最初に日本の米の味から入り、慣れて気に入ってもらえれば、ロイヤルカスタマーになってもらえます。
先日、中国での化粧品戦略のドキュメンタリーを観ました。中国人の女性は色を使ったメークより、素肌感を大事にするということで、フランスや日本のメーカーは基礎化粧品に特化して中国市場に参入しています。 しかし、韓国のメーカーは、アイシャドーなどの「色」を売るマーケティングで中国市場に進出したとのことです。 外れてしまえば大損害かもしれませんが、当たればまさに「1番乗りマーケティング」ですよね。
最初にマーケットするのは、とても大変なことですが、その分ペイオフも大きいのです。 どちらが正しく、どちらが誤りというのではなく、どちらも攻め方により大きく花開くと思います。
さて、長い間ご愛読いただいた当コラムですが、今回で最終回となりました。 今までありがとうございました。
一夜にして大ホームランを打つのは、宝くじに当たるようなものです。 それよりも、地道なマーケティングでこの景気を乗り切り、これからも”ニッポン ”の良い商品とサービスをこのアメリカでプロモートしていきたいと思います。
またどこかでお会いできれば幸いです。